探偵・花咲太郎は閃かない (メディアワークス文庫) 感想

 年末年始は、旅行もせず、買い物や初詣以外の外出もせずにいたので、それなりに本が読めました。

 西尾維新「傷物語」、竹井10日「東京皇帝☆北条恋歌4」、林トモアキ「ミスマルカ興国物語Ⅵ」、佐々原史緒「創立!? 三ツ星生徒会4 そうして恋3は辿りつく」、速水秋水「純愛を探せ!3」、そして標題作です。

…12月購入分がまだ残っているのに、早々と1月発売分に手を付けてしまったのはご愛敬ということで。


 標題作の感想を書く前にこれを書くのはどうかとは思いますが、新レーベル「メディアワークス文庫」について。

 電撃文庫で育った大人のためのレーベルだそうです。
 しかし、これだけでは一体どのあたりの層をターゲットとしているのか今ひとつハッキリしません。

 まだ1作しか読んでいないのに…と思われることを承知で書きますが、狙いは「純文学とライトノベルの中間」ではなく、大人向けの「娯楽小説」であってほしいと思っています。

 私の乏しい読書歴から例を出すのは恥ずかしいのですが…
 例えば、系列である角川文庫で出されている、万城目 学「鴨川ホルモー」。これは京都の大学生による恋と青春の物語です。
 例えば、あさのあつこの有名作の登場人物は高校生が多いですね。
 例えば、桜庭一樹の作品群は、相次いでファミ通文庫や富士見ミステリー文庫から角川文庫に「移籍」しています。
 例えば、電撃文庫の中で萌えが少ないあるいはほとんど無い「異色の作品」群。

 新レーベルが狙う作品は、これらを引っくるめたものではないかと。

 ライトノベルの登場人物は、そのターゲットとしている学生さんに近い年齢層…そのほとんどが高校生です。では、新レーベルでは、登場人物の年齢層を上げて大人や大学生を使えばそれで良い…という事ではないでしょう。それならば、何も新レーベルでなくても電撃文庫で十分カバーできるはずです。
 逆に、恋愛やら萌えやらオタク臭がなければそれでいい…とも思いません。それならば、一般レーベルとのカラーの違いがハッキリしません。また、一般レーベルにそれらの要素がないというのは嘘ですよね。
 これらを合わせると、わざわざ別レーベルを創刊した意図は??

 それならば、萌えがあろうが美少女が登場しようが主人公が高校生だろうが、「大人が楽しめるモノ」であれば何でも良いのではないかと思っています。単に「純文学とライトノベルの中間」を狙っていては、中途半端に終わる可能性があります。

 そういう意味で、まだ著者も編集者も手探りの中で創刊されたのかなぁ…と感じられる作品の一つが標題作だと思います。


◎ 好き嫌いが明確に分かれる探偵小説

 新レーベル「メディアワークス文庫」のファーストラインナップで、犬猫捜索専門探偵・花咲太郎と「桃姫」ことトウキ(13歳)。「閃かない」探偵と美少女が織りなす探偵物語です。

 この本は5章立てとなっていますが、どの章も一応何某かの「事件」が絡んでいます。しかし、その事件の発端、推理、解決編…などという推理小説によくある構成は一切無視し、おまけに解決編すら書いていない章もあります。
 加えて、この探偵は自ら行動派と称し、名探偵のような推理はあり得ないと思っているようで、いわゆる推理らしい推理は第2章以外していません。
 では、実はトウキが…ということもありません。彼女は事件を呼び込むこととカンで犯人がわかるという、これも今ひとつ推理とは離れた能力を発揮しています。ですので、探偵が出てくる=名探偵と連想して「推理小説」だと思って購入すると、失敗します。

 ではこの本は何かというと、訳あり美少女と同居するロリコン探偵と愉快な登場人物の掛け合いを、著者独特の文体で楽しむ、探偵という職業の人物を使ったユーモア小説だと思います。

 では、ユーモア小説として面白かったかというと、入間人間氏独特の文体自体はいつもの通りなのですが、現在続巻中の「電波女と青春男」(電撃文庫)と比較しても、その内容の中途半端さは否めません。

 ただ、恐らく1冊目はいろいろなエピソードに絡めて今後多用する登場人物を並べただけではないかと思われる節があります。既に2月のラインナップで続編が出るようですので、そちらに期待します。

 そもそも、本来このレーベルが目指す位置づけ自体は、「純文学とライトノベルの中間」を狙っているのではなく、大人向けの「娯楽小説」なのではないかと推測しますが、本作はまさに前者のごとき中途半端さが感じられます。

 で、評価ですが、私個人としては、同著者の「電波女と青春男」は好きなだけに、この本の評価は1ランク下げざるを得ません。
 よって、様子見の★3つです。



探偵・花咲太郎は閃かない (メディアワークス文庫)
アスキー・メディアワークス
入間 人間

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