空色パンデミック1(ファミ通文庫) 感想

 3月は皆さん何かとお忙しい月ですね。
 例に漏れず、私も公私ともに忙しくなってます。この春は、私も恐らく新たな環境に挑戦することになろうかと思うので、今、これまで溜まった「アカ」の掃除を少しずつ行うとともに目の前の仕事に精を出しています。
 まあそういうことで、ここの更新が滞っていることをお詫びいたします。

…決してシビィⅣに嵌っていて書けないとかそういうのではありません。ありませんとも。(大事なことなので2回書きました。)

 2月の読書については、また後日更新します。

 では、ファミ通文庫の受賞作である標題作の感想など。


◎ 「中二病」が綺麗に書かれればこうなる好例
 
 高校受験の日、駅のホームで、主人公・仲西景は結衣さんと出逢った。彼女は“空想病”。発作を起こすと、正義の使者とかになりきってしまう。そんな彼女に、なぜかつきまとわれる日々が始まった。
 発作を起こしていないときの彼女は、端的に言ってただのわがまま娘。空騒ぎに付き合ってられない。最初は、そう思っていた。でも、それだけではなかった…。
 第11回えんため大賞優秀賞受賞、胸騒ぎと空騒ぎの「ボーイ、ミーツ、空想少女」。

 早くもタイトルに「1」と書いてあるので続きがある風ですが、内容的には一応この巻で完結しています。
 中二病を扱ったラノベとしては、田中ロミオの名作「AURA」がありますが、違うアプローチからなかなか面白い作品になっていると思います。アイディアの勝利ですね。

 まず、「空想病」とは。
 早い話が、多くの人々に認知され、発作を起こせば他人を巻き込んでしまう「中二病」ってところでしょうか。
 発作が起こると患者本人には妄想の世界しか見えず、妄想ストーリーが完結すると発作が収まるという、患者にとっては妄想の世界が可視化できてうれしいやら、妄想が他人にダダ漏れで恥ずかしいやら…という、奇妙な病気です。

 本作は、主人公・景、空想病患者・結衣、景が高校入試の日に出会った女装趣味の男・青井…この3人の登場人物によるストーリーであると言っても過言ではありません。
 普通、中二病と聞くと「痛いヤツ」というイメージ(前述「AURA」もそういう感じ)がありますが、本作のイメージはそんなことはなく、景と2人のヒロイン(?)による、結衣の妄想すらも一つの味付けとしたボーイミーツガール・ラブストーリー風に仕上がっています。

 気になる点は3つ。
 一つは、これは読む側の趣味の問題だと思いますが、主人公の個性があまり出ていないことです。最近のラノベはそういう主人公が多くなっているような気がします。主人公=読者みたいな。これは、泣きゲー全盛期のエロゲにもそういう時期がありましたね。今は知りませんが…。
 もう一つは、そもそも景が空想病のことを知らな過ぎること。作中、例えば結衣が発作を起こしても周りの人たちがあまり驚いている風ではありません。それぐらい認知度が高い病気なのに、景は知らないわけです。まあこれは読者に説明するという手間があるので致し方ないと言えばそれまでなんですけどね。
 3つ目は、賞応募作なので致し方ないとは思いますが、エピソード間の時間の飛ばし方が少し唐突な印象を受けたことですね。

 全体的には、少ない主要登場人物と物語の対象を絞った内容で読みやすかったのと、結衣や青井の背景もしっかり書けていてとても楽しく読めました。

 ただ、ほぼ完結してしまったこの話の続きをどうやって進めるのかは少々気になるところですが、それは次のお楽しみと言うことで、今回は新人の作品としては質が高く、新人レートで★5つとします。



空色パンデミック1 (ファミ通文庫)
エンターブレイン
本田誠

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