ひとりぼっちの王様とサイドスローのお姫様(メディアワークス文庫) 感想

◎ 中途半端さは否めない

 3年ぶりに帰国し、日本の高校に入学した綾音。彼女には幼馴染みの巧也と野球をするという目的があった。中学時代、巧也はシニアの世界で活躍し、全国区の有名選手に成長していた。だが、再会に胸躍らせる綾音の目の前にいたのは、想像していたのとは全く違う巧也だった。
 冷淡に「野球はやめた」と言い捨てる巧也に戸惑いを隠せない綾音。彼女は巧也に野球をやらせるべく猛アタックを始めるのだが―。爽快な野球小説の登場。

 ストーリーは、とある理由から野球を離れてしまい、子供の頃からはすっかり変わってしまった巧也を野球部に勧誘する 前半の綾音奮闘パートと、綾音の説得にほだされて進学校の弱小野球部に入部することになり、過去と向き合いながら野球部を強くしようとする後半の巧也奮闘パートに分かれます。

 まあ、何となく一色銀河氏の「そらいろな」(電撃文庫)と似たようなシチュエーションですが、個人的にどちらが面白かったかというと、「そらいろな」に軍配を上げます。

 その理由として、まず一つは、本作はあまりにも野球に関する「説明」が多すぎたことです。それを省いたら半分ぐらいの厚さになるんじゃないかと思うぐらい多いです。恐らく作者としては、幅広い人たちに読んで欲しいと思ったのでしょうが、ちょっと違うなぁと思いました。
 例えば、今人気の野球マンガ…と言っても私の知っているのは「おおきく振りかぶって」と「高校球児ザワさん」しか知らないのですが、「おお振り」は野球の戦術面、心理面を真面目に扱っているという面白さが特徴的ですし、「ザワさん」は、紅一点の野球部員という立場を利用したシチュエーションコメディです。
 この2作とも、野球に関する細かな説明はありません。でも人気があります。「おお振り」は野球オンチの我が家のビール犬も喜んで読んでいます。
 要するに、面白ければ野球のことが疎くたって読むということです。面白い作品で分からない言葉が出てくれば、このネット社会なら自ら調べますよ。

  もう一点は、野球というある意味使い古された題材を使ったのに、あまりにもオーソドックス過ぎたということでしょうか。「おお振り」型と「ザワさん」型のどちらかに比重を置いていれば違った結果だったような気がします。

 評価は、本の厚さの割には…の★3つです。


追伸:
 先日ブックオフで、一色銀河氏の作品「若草野球部狂想曲」というのを発見。この作品のヒロインの一人がアンダースローの女子高生ピッチャーで、「そらいろな」よりも標題作に似ているような気がします。



ひとりぼっちの王様とサイドスローのお姫様 (メディアワークス文庫)
アスキーメディアワークス
柏葉 空十郎

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