“菜々子さん”の戯曲 小悪魔と盤上の12人 (角川スニーカー文庫) 感想

◎ 前巻と比較して物足りなさが…

 高校に入学した宮本剛太は、文芸部に強制的に入るように脅された。しかし、そのピンチを救ったのが“菜々子先輩”だった。美少女大好きな彼にとって、彼女はストライクゾーンのど真ん中、一目で心を奪われ、彼女が所属する映画研究会に入ることに。そんな中、校内である女生徒の盗撮写真が出回っているという噂が流れ、映研が疑われてしまう。宮本はその疑いを晴らす為に調査を始めることに。
 小悪魔“菜々子さん”の言葉に突き動かされる宮本は、いかなる真相に辿り着くのか!?

 前巻は、病床に伏せる坪手君と、毎日彼の見舞いに訪れる菜々子さんの物語でした。一種「安楽椅子型」のミステリとして、楽しく読ませていただきました。
 そして今巻は、その菜々子さんが高校2年生となり、また語り手も坪手君から高校の後輩・宮本君に変わり、小悪魔“菜々子さん”に翻弄される物語です。

 登場人物は、坪手君らしき人(手紙で登場)や久美子さんなど、前巻からの続きらしき人たちもいますが、基本的には最初に登場する文芸部の部長、高校の映研の部員と宮本君の同級生です。

 ストーリー的には、チェスがメッセージ役となり、比較的小さな謎解きが大きな謎解きの伏線になっていくという流れが美しく、宮本君の推理も論理的でちょっとかっこよかったのですが、残念ながら前巻に比べて物足りなさを感じてしまいました。

 それは、前巻では菜々子さんの存在自体が「謎」であり、彼女の本質を知ったときに大きなサプライズとなったのですが、今巻では、既に菜々子さんの「小悪魔」な性格と行動原理が分かってしまっているので、どうしても菜々子さんの行動自体に「ああ、やっぱりな…」感が漂ってしまい、サプライズとして受け入れられないのです。
 これは、ミステリとしてはかなりマイナスではなかろうかと思っています。

 加えて、どうしても謎解きの部分が先行してしまい、人物の掘り下げが甘く、感情移入が難しかったのが痛かったです。

 私個人としては、やはり坪手君と菜々子さんのその後を読みたいなと思っていますので、今回は辛めの評価で★3つとします。



“菜々子さん”の戯曲 小悪魔と盤上の12人 (角川スニーカー文庫)
角川書店(角川グループパブリッシング)
2010-10-30
高木 敦史

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