「GOSICKⅦ 薔薇色の人生」(角川文庫) 感想

 久々に本の感想を。

 かつて富士見ミステリー文庫で人気を博し、今やアニメでも人気の「GOSICK」。
 ご存じのとおり、今は直木賞作家となった桜庭一樹さんの人気作です。

 そのGOSICK。桜庭さんが直木賞を取ったがために、もう続編はないと諦めていたファン待望の書き下ろし作品と言うことで、楽しみにしておりました。

…しかし、私自身の積み本消化が思うように進まず、ここまで読まずに積んでいました。

 さて、ここから感想。

 面白かったです。
 ミステリーとしては初級ですが、ヴィクトリカと久城の2人が出ていれば、それだけで十分楽しめます。
 今巻は、これまで以上に背景がデカい話であり、これから巻き起こる嵐の予兆のような、ラストに向けての壮大な前振りのような、そんな物語でした。

 しかし…
 ここから多少ネガティブな感想ですので、ファンの方は斜め読みをオススメします。

 富士見時代からの原作ファンとしては、やはり少々物足りなさが残りました。
 挿絵がないことは、角川文庫ですからハナから諦めていますが、やはりここぞというところで武田日向氏の描く可愛いヴィクトリカの姿がほしかったなぁ…と無い物ねだりをしてみたりします。

 それと、富士見時代の作風というか、作品中のリズムと言いますか、フィーリングと言いますか、そんな微妙な感覚のところでズレを感じました。
 普段からラノベばかり読んでいて、「GOSICK」といラノベの続きだと思って読んでいる私としては、純文学者が書くライトノベルに思えてしまうのです。ラノベ独特の軽やかなリズム感ではありません。まるで、クラシック音楽をポップスでカヴァーしたような、また、まるで若い頃に書いた小説を懐かしんで、大人になってから続きを書いてみたという、そんな感じです。

 桜庭さんの一般文芸作品も何冊か読んでいますが、どちらかというとそちらに近いというのが私の感覚です。
 何か、作者が当時の感覚をムリヤリ思い出しながら書いているという印象を受けました。一般文芸から桜庭さんを読み始めた方にはあまり違和感がないと思いますが、ラノベの桜庭さんから入った人間には、やはり違和感があるのです。

 その象徴がやたら多く出てくる「!」です。女子高生の携帯メールじゃないのですから、書きゃあいいってもんじゃありません。あ…女子高生と言うよりも30代のおば…もとい、お姉さんというほうが近いですかね。アノ年代の方は、そのほうが文章が若く見えるとでも思っているのか、やたら「!」を使いたがります。

 うーん、桜庭さんはもう既にアチラの人なんだなぁ…と、ちょっとばかり寂しい気持ちになりました。

 最後に、誤解の無いように言っておきますが、そもそも一般文芸志向の強いラノベの桜庭作品の中でも、GOSICKは異色なんです。なので、作者自身の「時間の経過」に一番逆らえない作品だと思うのです。



GOSICKVII‐ゴシック・薔薇色の人生‐ (角川文庫)
角川書店(角川グループパブリッシング)
2011-03-25
桜庭 一樹

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