変態王子と笑わない猫。 (MF文庫J) 感想

◎ 納得の最優秀賞

 MF文庫Jの第6回新人賞<最優秀賞>受賞作品。

 主人公・横寺陽人は頭の中身が煩悩まみれな高校二年生。まあ、男子高校生にありがちなことですね。
 その陽人クンは、自分が「建前」でしか話ができないことに悩んでいました。かたやヒロインの筒隠月子は、喜怒哀楽が表に出てしまい、これまた悩んでいました。

 そんな2人が偶然「笑わない猫像」の前で出会い、2人が猫像に祈ったら、陽人は心で思ったことが口から垂れ流しになってしまい、付いたあだ名が「変態王子」。そして月子は「無表情娘」になってしまったのです。
 困った2人は、猫像のせいで喪われた本音と建前を奪還しようと、協力しあう…というのがこの作品のメインストーリーです。

 ラノベの受賞作品といえば、良い意味でも悪い意味でも「ごった煮」感が漂います。基本的にその1本で簡潔させ、かつ最終目標は「受賞すること」なので、どうしてもいろいろ詰め込みたくなるのが人情ですよね。ただ、本当ならば出版に際しては編集の手が入りそのあたりが改善されるはずなのですが、あまりに大幅な改編はそもそも「受賞作の出版」というミッションからすれば「別物」となってしまうので、多少加減をしているような気がします。

 そんな中で、本作は、受賞作にありがちな「ごった煮感」がなく、「本音と建前」「口に出さなきゃ想いは伝わらない」といったテーマが絞られていて、「笑わない猫像にまつわるボーイミーツガール」という中心軸から外れることのないまとまりの良い作品でした。

 登場人物も、女性陣はクール、ツンデレ、ツンドラと多少似たようなキャラ属性なのだけれども、しっかり個性を持たせて類似感を感じさせず、他のキャラを含めてうまく動かしているなという印象を持ちました。
 また、「特殊能力」の主体が猫像以外(いわゆる登場人物)にはなかったことと、「変態」というタイトルにしては妙にエロに走らず、抑えが効いていたのも好感触です。

 ただし、謎が2点ほど。
<その1>
 陽人が「部長」の名字を知らなかったこと。そもそも自分の部活の部長の名字を知らないなんてあり得ません。ましてや「鈴木」とか「佐藤」ならまだしも「筒隠」などという珍しい名字なのに気付かないのはどうか。まあ、この街にはありふれた名字だったと言われればそれまでですが…。
 この部分は、この物語の進行上重要なところですので、ちょっと気になりました。
<その2>
 梓の母親の一連の行動。そもそも「天然」キャラなんですが、その行動原理が今ひとつ理解できませんでした。(特に寒過ぎるクーラーのくだりとか)
 まあ、言い方を変えれば「私が理解できなかった」ということなんですが…。

 それでも、上記2点は微々たる話で、本作はまさに良作だといえます。

 新人さんの作品ということを加味して、評価は★5つです。


変態王子と笑わない猫。 (MF文庫J)
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